私は学生時代、海外旅行に、興味がなかった。
正確には、海外旅行に興味がなかったわけではなく、行く金がなかったわけではないが、
カムチャッカの若者が きりんの夢を見ていた時、その金でレコードと電子楽器を買っていた。
メキシコの娘が 朝もやの中でバスを待っていた時、Santana - Jingo を聞いていた。
入学時の同級生が、パリの北駅でひったくりに逢っていた時、StarDust - Music Sounds Better With You を聞いていた。
ニューヨークの少女がほほえみながら寝がえりをうったとき、Jungle Brothers- Straight out the Jungle を聞いていた。
海外旅行に行けるかもしれない金を、別のことに使っていて、
ローマの少年は、柱頭を染める朝陽にウインクし、今はレコードは買わなくなり、電子楽器は売ってしまった。
レコードを買わなくなった代わりに、毎日酒を飲むようになって、
金はあまり使わなくなったが、もともとあったわけではないので、平均的な貯金額よりなく、
会社のストックオプションで、株を買ったり、
投資信託では、ブラジル企業にだけ投資するやつを買ったのは、Gal Costa - Relance を聞いたからかもしれない。
投資信託は全然もうからず、リオオリンピックも終わって、投資信託は売ったが、私のBrasilに対する興味、
主に、トロピカリアに対する興味は失われず、
Brasil フェスに行ったり、カポエイラを習ってみようとして習わなかったり、Brasilは「マピュピチュ」より旅費が高いと知ったり、
「リオのサンバカーニバル」に行き、そのまま 帰るのが嫌になって、Brasil に移住する夢を見るようになった。(寝ていて)。
夢ではサンバカーニバルだが、いや毎日あれは嫌だ、普通のテンションでいたい日もあるので普段は、Bossanovaだ。
トロピアリア寄りのやつだ。
日曜日の午後みたいな曲を聴きながら、日曜日の午後みたいな日を週3くらい過ごして、
Brasil にたいだい50歳くらいに移住し、51歳くらいにBossanovaの聖地である
リオデジャネイロの老舗カフェ「イパネマの娘」で「イパネマの娘」を聞いているとすると、
だいたい以下のことを達成しないといけない感じがする。
勘だけど。
Task list 4 Brasil (4 は、Only 4 U の 4)
1. Brasil へ行く旅費を確保する。
2. ポルトガル語の習得。
3-1. 現地の風習を覚える (水回り)。
3-2. 現地の風習を覚える (商習慣)。
3-3. 現地の風習を覚える (宗教)。
3-4. 現地の風習を覚える (政治)。
3-5. 現地の風習を覚える (スポーツ)。
3-6. 現地の風習を覚える (食事のマナー)。
3-.. その他多数。
4. 退職届提出 (一身上の都合)。
5. 会社の送別会でさよなら、「お世話になりました。Brasil に行きます。」
6. 転職活動 (IT系)。
7. 就労ビザ取得。
8. 関係者各位にお別れを言う。
9. 親族の説得。
10.仮住まいに移住。
11.仮住まいに住みつつ、本住居を探す。
12.会社で「初めまして、日本から来ました。なにかとご迷惑をかけるかと思いますが、前職での経験を活かし頑張ります」をポルトガル語で。
13.本住居に移動。
14.本住居周辺の、スーバー等の商業施設の把握。
15.「イパネマの娘」の行き方を路線検索する。 (駅すぱあとみたいなやつで)
妻に、この話を濃いめのハイボール片手にしてみたが、
「海外旅行の経験もないYouに、海外にいきなり移住は難しいわ。まさにB29に竹槍で挑むようなものだわ。
まずは、旅行して経験を積むべきよ。
Meは、何度かヨーロッパに行ったことはあるけど、ポルトガルはまだ行ったことがないの。
Brasil は言語はポルトガル語、元々ポルトガルの植民地だったわけだし、共通点も多いとMeは思うわ。
Weはまだ、新婚旅行にも行ってないわけだし、新婚旅行として行くのはどう?
」
というニュアンスのことを普通の日本語で言われた。
そして寝た。
私は、1缶目の濃いめのハイボールを飲み終え、2缶目の濃いめのハイボールを片手に、
「名案だ。5月末に計画をしよう。」
と言って、風呂に入った。
私の風呂は長い、見かけによらず。バイオ汚れに関しても綺麗好きだ。
長い風呂から上がり、寝ている妻に、念押しで再度言った。
「名案だ。5月末に計画をしよう。」
妻は、わかったらしく、
「うー」
と言った。
私は次の日、
いいちこを飲みながら、タスクリストに
0. ポルトガルへ行き、Brasil の歴史的背景を理解する
を追加し、
後日、有給休暇を取得のうえ、ポルトガルへ行った。
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